プロボクシングの元世界3階級制覇の亀田興毅。



国内試合ができない、ということからJBC(日本ボクシングコミッション)を訴え、その判決が出たのが2020年1月31日のこと。
判決では4550万円の支払いを裁判所がJBCに命じたものになりましたが、この判決を不服としてJBCは2月3日に控訴。
なにやら泥沼感が漂いますが、そもそもなぜ亀田興毅は国内試合ができないのか、また、裁判に対してJBCの言い分は何なのか、調べてみました!
亀田興毅が国内試合できない理由
なぜ今回亀田興毅がJBCを相手取って裁判しているのか。
その理由は国内でボクシングの試合ができない、というところにあり、所属先の個人事務所が不当な処分を受けたため、ということのようです。
朝日新聞2020年1月31日の記事によれば、
プロボクシング元世界王者の亀田興毅氏ら3兄弟と所属先の個人事務所が、不当な処分で試合ができなくなり損害を受けたとして、日本ボクシングコミッション(JBC)とその理事らに約6億6千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、東京地裁であった。
谷口安史裁判長はJBCの処分が違法だったと認め、計4550万円を亀田氏側に支払うように命じた。
引用元:朝日新聞2020.1.31
訴訟を起こした理由としては、亀田3兄弟と所属先事務所がJBCから不当な処分をうけたため、国内で試合ができなくなり、それにより損害を受けた、とされてます。
なぜそうした処分を受けたかと言えば、
訴訟の発端は2014年。
国際ボクシング連盟(IBF)スーパーフライ級王者だった亀田大毅氏が、13年の2団体王座統一戦に負けてもIBF王座を失わなかったことで混乱を招いたとして、JBCは3兄弟が所属するジムの会長らのライセンスを更新しない処分を下した。
引用元:朝日新聞2020.1.31
2013年の王座統一戦で負けた亀田大毅が、IBF王座を失わずに混乱を招いたとして、JBCが亀田3兄弟の所属事務のライセンス更新しない処分を下した、というのが発端のようです。
何か筋が通ってなさそうな話ですが、なぜJBCがそのような処分を下したかと言えば、亀田側がIBFのルールを把握していながらJBCに報告しなかった、というところにあるようです。(これも何か変な話)
実際には、IBFルールの説明の場にはJBC関係者も同席していた、ということから、亀田(事務所)側から見れば、ルール説明に同席して説明を聞いていたなら内容はわかっているはずで報告するまでもない、と考えてJBCに報告しなかった、ということのようですが、こうした経緯から「ライセンスはく奪の処分は結論ありきの違法なもの」と主張し裁判へ突入。
所属事務所がライセンスはく奪されれば、当然そこに所属する選手(亀田3兄弟)は試合ができなくなり、実際試合ができたとしたら勿論ファイトマネーや共興収入が入るところ、それが入らなかった、ということで損害賠償、ということになりますね。
※)約6億6600万円の損害賠償請求の訴訟(2年間のファイトマネーと興行収入の相当額)
JBCの言い分は?
そうした違法性や損害を訴えるための裁判だった、となりそうですが、今回の判決前に、東京地裁から亀田側、JBC側に対する和解案として、
「JBC側が亀田側に4千万円を支払う」
といった案も提示したようですが、単なる損害賠償ではなく、「結論ありきの不当な処分(ライセンスはく奪)のため試合ができなくなった」と考えている亀田(事務所)側としては、当然それだけの和解案を飲めるわけもない。
不当な処分と考えているその処分に関連して、JBCの幹部らの辞任を条件としていたために、和解案は受け入れられず、今回の判決になった、ということのようです。
ライセンスはく奪処分とした2014年当時を振り返れば、JBCの一番のポイントは以下の記事にあるように、
JBCは、対戦相手が体重超過で失格となった試合で亀田側が勝敗に関係なく王座にとどまることを事前に知っていながら報告を怠り、公表もしなかった点を問題視。
秋山弘志理事長は「多くの人々からボクシングの公平性を疑われ、JBCの信用が傷つけられた」と処分理由を説明。亀田家として6件目(延べ計11人)の処分で「JBCとの信頼関係は破綻している」とした。
引用元:2014.2.8
当時の試合で勝敗に関係なく王座にとどまることの報告を怠り公表もしなかった、として、ボクシングの公平性が疑われJBCの信用が傷つけられた、と大激怒。
(そこまで怒ることかな、と今から振り返ればそう思いますが、当時は亀田3兄弟のアンチも多かったようで、こうした処分もその時の流れに流されていた感がある)
このため、JBCは亀田側(吉井慎次会長と嶋聡マネジャー)に対し、ライセンス更新を認めないとした重い処分を下し、結果、亀田3兄弟は選手ライセンスも失効。事実上の国外通報処分、となりました。
JBCが危ない!?
今回の判決が出る前にもいろいろと報道されましたが、その1つにJBCの存続があります。
JBCの財務諸表によると、2018年末の正味財産は620万円。幹部は「仮に判決で数千万円規模の支払い命令が出ると、JBCの存続が危ぶまれる」という。
朝日新聞:2020.1.14
朝日新聞によると、JBCの財産状況は非常にお粗末な感じで、2018年末では620万ほどしかない。数千万円規模の支払い命令が出ると、JBC自体が破綻し、存続が危ぶまれる、とまで書かれてます。
今回の判決では、裁判所はJBCへ4550万円の支払いを命じた形になりますが、これがそのまま実行されることになると、JBCは財産的にいきなり破綻。
当然そうしたことから、判決をそのまま受け入れることはできない、(JBC存続のためにも)控訴すせざるを得ない、というところなのでしょう。
今回のポイント
今回裁判長が「JBCの処分が違法だったと認め」たことが判決のポイントですが、次の裁判でもJBCの処分が違法だったのかどうか、がやはり争点になりそうです。
JBC側としては、少しでも裁判長に認められ、仮に裁判に負けたとしても、それは仕方のなかったという部分もある、ということを考慮に入れてもらい、賠償金の減額を狙う、ということになるでしょうか。
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