ゴーンのレバノン裁判の今後!国連腐敗防止条約で日本へ引き渡しできるか?




カルロスゴーンが日本から突如レバノンに逃亡し、どうやって日本国外から脱出したのかで情報も大混乱しているようですが、レバモンのMTVというところの報道によれば、ゴーンさんがレバノンにいるのは事実のようです。

国外逃亡にあたってその手段はどうだったのかにも注目が集まってますが、それはそれとして、今後レバノンから日本への引き渡しがどうなるかが焦点になりそうです。

ここで重要になってくるのが「国連腐敗防止条約」。日本とレバノンは犯罪人引き渡し条約がないため、それを含めているこの国連腐敗防止条約によって、ゴーンさんの運命がどうなるかが決まりそうです。

実際のレバノンでの報道内容、そして国連腐敗防止条約に関連し、ゴーンさんが今後どうなるか、順次詳しく見て行きましょう。

レバノンでの報道内容

まずはゴーンさんがいまいるレバノンでの実際の報道内容から。実際レバノンのMTVの以下の記事で報道されてますね。

これによりゴーンはレバノン入りできた:レバノンMTV(アラビア語らしいので、興味があれば日本語翻訳してみてください)。

ということで以下このレバノンMTVの記事の要約ですが、まずはレバノンに入国した関連としては以下。

  • カルロスゴーンは脱税裁判の開始のため、何か月も自宅軟禁されていた
  • 日本の裁判所は、ゴーンに対して4回の告訴を行っている
  • カルロスゴーンはレッドリストに含まれていない、インターポール(国際刑事警察機構:ICPO)から逮捕状が発行されていなかった
  • レバノンのベイルートには、トルコからの民間飛行機で月曜日(12月30日)の午前6時に到着した
  • 今回の件は、日本側も驚かせている

カルロスゴーンの日本での状況や、今回の日本国外脱出で日本側も驚いていること、そしてトルコからは民間飛行機でレバノンに入国したが、国際手配されていなかったことが報道されています。

ここに出て来る「レッドリスト」とは、どうやら国際指名手配されていない、指名手配対象のリストに入っていない、ということのようです。だから、途中経由の空港でもレバノン到着時においても逮捕はされず、問題なくレバノンに入国できた、ということのようですね。

このあたりは、日本側がゴーンさんの国外逃亡に気が付くのが遅かった、というのと、国外逃亡の可能性がある、として事前に国際指名手配をしておかなかった、という日本側の失策とかになるでしょうか。

コントラバスに入ってはデマ?

また楽器のコントラバスのケースに入って国外脱出をした、というある意味ミステリアスな脱出方法について以下のように記述が記事内にあります

  • フランスの報道機関は、楽器の箱の中に隠れて逃げたというレバノンのテレビチャンネルによる報道を否定している

元々楽器の箱の中に隠れて逃げた、というのはレバノンのテレビチャンネルが情報ソース元のようですが、フランスの報道機関はそれを否定している、とのこと。

これは「どの時点か」がポイントにもなると思いますが、日本からの脱出時点では楽器ケースに入っていたかもしれないが、その後飛行機が離陸した後楽器ケースから出た、あとは普通に経由地でも飛行機の乗り換えなどをした、ということになると、このフランスの報道機関の指摘はそれはそれ、という感じもします。

レバノンでのゴーン発言

ゴーンさんがレバノン入り後に話していることについても言及され、以下のような内容になってるようです。

  • カルロスゴーンは合法的にレバノンに入国したこと、日本の司法から逃れたこと、レバノンでは裁判にはかけられない、などを話している(ようだ)

ゴーンさんは日本の司法の不当性や、それをもってしてレバノンでは裁判にはかけられない、というような声明を報道機関を通して発表しているようです。

レバノン政府側の見解

またレバノン政府、レバノン外務省関連としては以下のような内容。

  • レバノン総合安全保障総局は、カルロスゴーンは合法的にレバノンに入国しているとしているし、ゴーンに対する法的措置はない(現状では、ということになると思いますが)
  • 東京(日本側)が(レバノンに)引き渡しの要求した場合に、レバノン側がその要求を検討し、(必要であれば)ゴーンはレバノン人のためレバノンで裁判をする
  • レバノン外務省は、日本とは司法協力や賠償についての合意はないが、国連腐敗防止条約に署名している、と指摘している

レバノンには合法的に入国している、という点は、パスポートがどうなっているかによると思いますが、ゴーンさんの日本側への引き渡しという点では、現在は予定がないにしても、日本側からの要求に応じて(必要と判断されれば)レバノンにて裁判が行われる。

犯罪人引き渡し条約がレバノンと日本の間には締結されてませんが(2016年時点で日本は2か国(アメリカと韓国)と犯罪人引き渡し条約を締結している)そうした中でも、レバノン、日本は共に「国連腐敗防止条約」に批准している、ということから、この条約によって今後どうなるか(ゴーンさんを日本側に引き渡すかどうか)が決まりそうです。

国連腐敗防止条約と今後の流れ

国連腐敗防止条約とは、正式には「腐敗の防止に関する国際連合条約」といって、外務省の資料によれば、国際的な腐敗行為の対処のため、腐敗行為を効果的に防止し、国際協力を推進することを目的としたもの。

この条約の中のポイントは以下の4つ。

  • 1)腐敗行為の防止措置
    (公的部門などの透明性確保と資金洗浄の防止)
  • 2)腐敗行為の犯罪化
    (公務員関連の贈収賄や販売利益の洗浄、司法妨害の犯罪化抑止)
  • 3)国際協力
    (犯罪人引渡、捜査・司法の共助)
  • 4)財産の回復
    (犯罪収益の没収のための国際協力、没収した財産の外国への返還)

見ての通り、この国連腐敗防止条約の中には国際協力として、犯罪人引渡が含まれます

この国際協力による犯罪人引渡がゴーンさんの場合に適用できるかどうかを見るには、この条約にある「犯罪人引渡」の条件がどうなっているかになりますが、実際に「腐敗の防止に関する国際連合条約」の和訳を見てみると、その第四十四条に犯罪人引渡しについて規定されてます。

ポイントと思われるところを要約すると、

  • 1)双方の国で犯罪であることが条件
    • 犯罪人引渡の対象は、締約国(今回で言えばレバノンと日本)の双方の国内法に基づいて刑を科することができる犯罪であることが条件
  • 2)犯罪でないにしても法律が認めればOK
    • 刑を科すことができない場合でも、その国の法律が認めれば引き渡しを行うことができる
  • 3)複数犯罪でも1つ当てはまればOK
    • 複数の犯罪の場合、そのうち1つでも引き渡し可能な内容であれば条約を適用できる

つまり、この国連腐敗防止条約を法的根拠としてゴーンさんをレバノンから日本側に引き渡すとする場合には、レバノン国内で刑を科すことのできる犯罪となるかがまず第一ポイント。

レバノンの国内法により、刑を科すことができない、となると、2つ目の「その国の法律が認めれば」とあるところが頼りになりますが、海外での金銭にかかわる犯罪、となれば、それにより得た金銭がレバノンにある銀行にあったりレバノンに持ち込まれていれば、レバノンの税金関係で問題になるでしょうが、多分そうではない。となるとレバノン国内法で裁くことは多分無理と考えるのが普通のように思います。
(だからこそとも言えなくもないですが、日本で支払った保釈金などはレバノンにいたらどうせ使えないお金なので欲しくない、没収されてもよい、ということになるかも)

ということで、ゴーンさんの今後については、

  • まず日本側からレバノンに対して、犯罪となる根拠や資料を提供し、引き渡しの要求を行う
  • レバノンは、その要求に応じて、提供された情報を元に、裁判をするかどうかを判断する
  • 裁判した結果、有罪となれば、日本側に引き渡すかどうか判断する

という流れが考えられます。

ただ、引き渡しの条件として「とるべき措置」もこの国連腐敗防止条約の中に以下のように規定されてます。

  • 国際連合事務総長に通報
    • 国際連合事務総長に対し、犯罪人引渡において、この条約を法的根拠とするか否かを通報する必要あり

なんと!というか、まず国際連合事務総長に通報する必要があるのだとか

通報とありますが、国際連合事務総長の判断を仰ぎ、

「よし、そういうことならこの条約を法的根拠として引き渡しOKとしよう」

といった許諾を得る必要がある、ということになるでしょうか。

ゴーンさんの今後

今後は日本とレバノンの交渉、というか、国連腐敗防止条約に法的根拠を求め、日本からレバノンに対してゴーンさんの引き渡しを要求し、それがどうなるかというところ。

ただ、そこまでには、日本からレバノンに対して引き渡し要求と情報提供を行い、その情報に従って、レバノン国内で調査が行われ、その結果、裁判をするかどうか、と、かなり時間がかかりそうですし、多分レバノンの国内法で裁かれる可能性は極めて低いのでは、と思われます。

レバノン内で、いや、これは裁判に値しない、とか、裁判したとしても有罪とならなければ、引き渡しの対象とならない、ということも。

レバノンの国内法は分かりませんが、レバノンから見れば日産という海外の会社を舞台にした事件であり、日本での裁判と同じ見方をするとは普通は考えづらいので、引き渡しは難しいだろう、という感じになるのでしょうか。

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