ガーシー議員は懲罰対象?国会欠席と議員資格はく奪や除名、不逮捕特権行使をチェック

元暴露系YouTuberの東谷義和ことガーシー議員。

NHK党所属の参議院議員で、現在日本国内ではなく中東・ドバイに滞在し、国会が開催されても日本に帰国しない、ということで懲罰対象とも報道されてます。

懲罰には4種類ありますが、実際に懲罰が言い渡されるのか、その懲罰は除名になるのでしょうか。

またそもそも議員には不逮捕特権がありますが、なぜ帰国しないのか、不逮捕特権を使わないのかもあわせてチェックしてみました。

懲罰で除名もあり得る?

ガーシー議員はもともと「日本帰国した場合、暗殺や不当逮捕の恐れがある」として8月の臨時国会に100%でない、と宣言していたようで、そのために「海外渡航届」も提出済。

この「海外渡航届」とは、国会議員は国会が開催されている間は当然国会が最優先になることから、国会に出席せず海外に行く場合には議院運営委員会(議運)理事会で了解を取る必要があり、そのために「海外にいるけど良い?」と了解を得るために提出するものになりますね。

過去で言えば、「いち、に、さん、ダー!」のアントニオ猪木元議員が国会開催中に北朝鮮に渡航。その時も海外渡航届を提出したことがありますが、海外渡航届に書かれた目的がはっきりしなかったために承認されず、結果懲罰を受ける、ということがあったようです。(この時は「30日間の登院停止」という懲罰)

ガーシー議員の場合、そもそも国外にいることで国会に物理的に出向くことができないことから事前に「海外渡航届」を提出したことになりますが、そこに書かれている理由(多分、日本帰国により国内における逮捕を恐れる、とか、身の危険を感じる、といういう内容になるのかな?)が承認されなかった、ということでしょうか。

こうなると国会を無断欠席扱いとなり、それが懲罰対象になるってことですね。

今回懲罰対象になるとすると、参議院議員の今後6年間に開かれる全ての国会に対し欠席扱いになることも考えられ、そのたびに懲罰の対象とされることになりますね。

懲罰の対象となっても、懲罰委員会で懲罰とするかどうかを審議して決めるため、実際には懲罰にならない場合もありますし、懲罰に値する、と判断されれば具体的な懲罰が課せられます。

懲罰には4種類ありますが、今回懲罰となり、それが国会が開催されるごとにまた懲罰となると、そのたびごとに懲罰の重さも増し、最終的には議員資格はく奪(除名処分)にもなる可能性も考えられそうです。

懲罰になるとしたら4種類のどれ?

国会議員に対する懲罰は以下の4種類があります。

  • 1)戒告:公開議場における戒告
    多くの議員の前、公開の議場で怒られる
  • 2)陳謝:公開議場における陳謝
    多くの議員の前、公開の議場で「こんなことしました。もうしません。ごめんなさい」と陳謝文を朗読する
  • 3)登院停止:一定期間の登院停止
    最大30日、参議院(や衆議院)に出ちゃだめよ、ということ。
    議員活動の停止みたいなものですね
  • 4)除名:議員の資格を失う

実際懲罰を課せられるにしても上の1から2は議員活動的には影響なし、3の登院停止もガーシー議員には特に影響なさそう。

(でも2の場合、オンラインでの陳謝分の朗読、となると、これまたひと悶着おきそうですが)

問題となるのは4の「議員の資格を失う」ことになる除名処分の懲罰になりますね。

懲罰は懲罰委員会で審議され、懲罰を課す課さないが決められます。
(つまり委員会で認められなければ懲罰は課せられない)

過去をさかのぼると、実際に懲罰となった例で一番最近は2013年とその前は2007年。

2013年(平成25年):30日間の登院停止
アントニオ猪木(当時)参議院議員
(無断で国会開会中に北朝鮮に渡航したため)

2007年(平成19年):30日間の登院停止
内山晃(当時)衆議院議員
(議事妨害と委員長を羽交い締めにして席から引きずり下ろしたため)

一番重い除名ともなると、
今から70年も前になる1951年と1950年の2例のみ。

1951年(昭和26年)
川上貫一(当時)衆議院議員
懲罰動議に基づく陳謝を拒否したため

1950年(昭和25年)
小川友三(当時)参議院議員
本会議で予算案に反対の態度を表明しながら実際には賛成票を投じたため

  • 懲罰が課せられてそれに従わなかった
    (国会のルールを完全無視)
  • 反対の態度を取って実際には賛成票を投じた
    (国会の場における明らかな欺く行為)

国会のルールを完全無視したり、他の国会議員を明らかに欺く(つまりその他議員に投票した多くの有権者をだます行為)が除名レベルの懲罰になるってことになりそうです。

こうしてみるとガーシー議員の場合、国会開催中の海外渡航が認められなかったアントニオ猪木元議員に課せられた懲罰(30日間の登院停止)と同等に懲罰される可能性が高いかもしれません。

30日間の登院停止は、4種類の懲罰の中で3番目に重いもので、その次が除名です。

今後国会が開かれるたびに同じ問題が起き懲罰対象になると、除名という一番重い懲罰が課せられることも考えられますね。

国会へのオンラインは出席と見なされない?

別に海外にいてもリモートで出席すれば良いのでは?とも思いますが、国会へのリモート出席で何が問題になるのかと見てみると、関係ありそうなのが憲法56条と国会法92条。

憲法56条
両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。

国会法の92条の2項
協議委員が、正当な理由がなくて欠席し、又は両院協議会の議長から再度の出席要求があつてもなお出席しないときは、その協議委員の属する議院の議長は、当該協議委員は辞任したものとみなす。

ここに出てくる「出席」とは、物理的なことを指すのかリモートではどうなるかがポイントにもなりますし、コロナ禍でリモートの働き方を、と呼びかけているこのご時世、国会へのリモート出席でも問題ないとも思えます。

実際に「国会のオンライン出席」については憲法審査会で2022年2月から4回にわかって議論がされ、報告書もまとめられて議長に提出されているようですね。

報告書では、56条1項の「出席」について、「原則的には物理的な出席と解釈すべきだが、いわゆる緊急事態が発生した場合等に、どうしても本会議の開催が必要と認められる時は、例外的に、『オンラインによる出席』も含まれると解釈することができる」としていて、こうした意見が大勢だったとしています。

【詳しくわかる】オンライン国会 憲法規定「出席」の解釈は?

憲法の条文にある「出席」の定義は、物理的な出席と解釈すべき。でも場合によっては例外的にオンラインによる出席も含まれると解釈する、という意見が大勢だったようです。

ただ、ガーシー議員の場合は、海外渡航届が承認されないとなると、その理由が「例外的に」と受け取ってもらえなかった、ということになるでしょうか。

ではNHK党の立花党首はガーシー議員のこの件についてどのように考えているかを見ると、以下のようにコメントしているようです。(産経ニュース2022/7/29

  • ガーシー議員は、8月3日召集の臨時国会には「100%出てこない」
  • ガーシー議員は、秋の臨時国会にも「出てこないだろう」
  • ガーシー議員のいるアラブ首長国連邦を訪問して意向を確認予定
  • ガーシー議員は、帰国すれば不当逮捕される恐れがある

仮にガーシー議員の元を訪れ意向を確認したとしても、帰国しません、と言われるだけのような気がしないでもないですよね。
(それぐらいならオンラインでお話すれば済む話なような)

何故帰国しないの?

ガーシー議員は、もともと芸能人のアテンダーとして活動していたようですが、2021年に「世界的に人気で日本でも人気のK-POPスターのBTSに会わせてあげる」ということで、主に20代や30代の若い女性たちに声をかけ、多額の金銭を受け取るといった騒動を起こし。この時の被害総額は数千万規模とも見られているようです。

この事件が明るみになり、国外脱出してドバイへと逃亡。その後は暴露系YouTuberでブレイク。

そして議員に当選して現在に至るわけですが、東スポ2022年8月の記事からすると、BTS問題で被害にあわれた方とは示談書の取り交わしもしている、という報道もありますね。

でもまだ海外にいるということは、示談書は取り交わしたりしていても被害届の中で全ては取り下げられてない、ということになるのでしょうか。

それとも、BTS問題は既にガーシー議員の中では解決していたとしても、暴露系YouTuberでいろいろなことを暴露していることから、日本国内における身の危険や、暴露話に関連した不当逮捕を気にしている、ということになるのでしょうか。

そうなると、こうしたことがクリアされない限りガーシー議員の帰国はなさそうですね。

不逮捕特権が使えないのか?

ガーシー議員が議員を目指したことの1つに「不逮捕特権」を挙げていたようです。(出典:FRIDAY DIGITAL 2022-6-5

不逮捕特権とは、日本国憲法第50条で定められている
「国会議員は原則国会の会期中は逮捕されない」というもの。
(会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば釈放されたりもする)

国会期間中は、いったん逮捕は保留するから、国の優先事項にあたってくれ、というものです。

あくまで対象は国会の会期中なので、
なにかあれば、国会スタート直前や閉会直後に逮捕となることもあり得ますね。

なぜ不逮捕特権が欲しかったのかと言えば、BTS問題に関して被害者の方々と直接会って謝罪したり母親にも謝罪したい、ということからのようです。

暴露話が元となり日本国内での身の危険を感じているとしたら、不当逮捕特権をつかって帰国したくても中々そうは行かない、それほど危険な話を暴露していた、ということになるでしょうか。

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