GSOMIAは勝手に破棄できる条件は何?外務省全文にある有効期間と終了条件

「いつでも破棄できる、という前提のもと」GSOMIAを「破棄するとした通知の効力を停止する」ということから継続となったに見える日韓のGSOMIA。

韓国側の「いつでも破棄できる、という前提のもと」といった発言内容からすると、なにやら条件付きの継続を示唆しているようですが、果たしてGSOMIAは何かあれば協定継続中の途中で勝手に破棄できるものなのか。

そもそもの協定全文にある有効期間や終了条件はどうなっているか、ここで見ておきましょう。

韓国は権利を持っている?

GSOMIA(日韓の軍事情報包括保護協定)について、以下の理由から「延長はしない」という通知が韓国から日本政府にあり、11月23日0時に失効となるまで、締結を主導した米国の動き含め大きな話題になりました。

  • 韓国の主張
    日本がホワイト国から韓国を除外し(輸出管理強化)、信頼関係がない、そんな国とは軍事機密の共有はできない

結果としては、失効する直前、6時間前(11月22日の18時ごろ)に韓国から、

「いつでも破棄できる、という前提のもと」
「破棄といった通告は停止する」

と通知があり、とりあえず、GSOMIAが失効となることはなくなった、という状況。

やめると言ったのをやめる、みたいな感じですが、韓国政府は「延長」という表現をしておらず、「いつでも破棄できる、という前提のもと」といった、いつでもコントロールする権利を持っている(ボールを持っているのは自分たちだ)、というようなニュアンスでの通知です。

またその後、中央日報2019年11月25日の記事「韓国国立外交院長「GSOMIA、日本の姿勢見てあしたにでも終了できる」によれば、韓国国立外交院のキム・ジュンヒョク院長も以下のように発言しています。

(GSOMIAは)日本の姿勢を見てあしたにでも、1カ月後にでも終了できる。これは韓国が刀の柄を握って日本を待つものと考えれば良い

今後の輸出管理強化の問題(ホワイト国から韓国を外した問題)の動向を見て、進展(改善)などなければ、すぐにでも終了できる、という意味ですが、ではそもそもGSOIMIAの協定には、そうした「期間中に勝手に破棄できるのか」とか「延長」についてはどのように規定されているのか。

GSOMIAの全文に見る規定内容

外務省にあるGSOMIAの全文を見れば、その第21条の「効力発生、改正、有効期間及び終了」について以下のように規定されています。

第二十一条効力発生、改正、有効期間及び終了


この協定は、それぞれの締約国政府がこの協定の効力発生のために必要なそれぞれの国内法上の要件が満たされたことを確認する書面による通告を外交上の経路を通じて行った日のうち、いずれか遅い方の日に効力を生ずる。


この協定は、両締約国政府の書面による同意によりいつでも改正することができる。


この協定は、一年間効力を有し、一方の締約国政府が他方の締約国政府に対しこの協定を終了させる意思を九十日前に外交上の経路を通じて書面により通告しない限り、その効力は、毎年自動的に延長される。

引用元:外務省 GSOMIA全文(日本語版)

GSOMIA失効、延長に関することは、この第21条の3で規定されてますが、まず協定の終了に関しては、

  • 終了する場合には90日前に書面により相手に通告する

今回の場合、確かに90日前(2019年8月23日)、韓国が長嶺安政駐韓国大使に対し(書面かどうかはわかりませんが)終了する旨を通告したことから、失効するしないの騒動になりましたが、この第21条の3にある延長に関しては、

  • 毎年自動的に延長される
  • 効力は1年間

協定が破棄されない場合(つまり延長された場合)には、その効力は1年間有効、となっています。

1年間有効の間に「勝手に破棄できるかどうか」という点では、GSOMIA全文を見る限り特に規定はないので、あるとしたら、第20条にある「紛争解決」の項。

第二十条紛争解決


この協定の解釈又は適用に関するいかなる紛争も、両締約国政府間の協議によってのみ解決されるものとする


1の規定による紛争の解決の間、両締約国政府は、提供された秘密軍事情報を引き続きこの協定に従って保護する

引用元:外務省 GSOMIA全文(日本語版)

1年間有効、といっているとろ、その有効期間の途中で終了(破棄)するのであれば、この第20条の1にのっとって、日韓両国政府間で途中で破棄が認められるかどうかを協議する、ということになります。韓国側から一方的に、途中で破棄する、ということにはならない、というところ。

今回の韓国の「破棄するという通知の効力の停止」にあたっての「いつでも破棄できる、という前提のもと」というのが、実は事前にこの第20条の1にのっとって事前に協議された、という可能性はあるかもしれませんが、この件についての日本や韓国の報道は今のところなさそうです。

勝手に破棄するとしたときの条件は、いずれにしてもまず日本側と紛争解決のための協議を行う、となりそうです。

アメリカの反応は「延長歓迎」?

GSOMIA締結を主導したアメリカの反応として、韓国系のニュースサイトでは「米国務省報道官は声明で「韓国の延長の決定を歓迎する」と表明した」とあります。

たとえば、U.S. welcomes S. Korea’s decision to ‘renew’ intel pact with Japan

“The United States welcomes the ROK decision to renew GSOMIA,” a State Department spokesperson said, referring to South Korea by the abbreviation of its official name, the Republic of Korea.
“This decision sends a positive message that like-minded allies can work through bilateral disputes,” he said.

韓国政府の「停止することを停止する」みたいな曖昧な表現ではなく、

  • 「とある国務省スポークスマン」(a State Department spokesperson said)が、
  • 「韓国がGSOMIAの延長を決断をしたことを歓迎する」(welcomes the ROK decision to renew GSOMIA)

と、「GSOMIAは1年間延長されたのだ」念押しするような発言をした、という内容。

が、日本にしてもアメリカ系のニュースサイトでも、「韓国の決定を歓迎する」という内容はあるものの、「renew 」(更新)という表現を使った報道はないようです。(調べた限りですが)

アメリカについては、単に日本と韓国といったアジアのニュースにはあまり興味がないということなのか、日本のニュースサイトでもそうした表現がないことから、韓国内の何か意図された報道か、または、アメリカの公式発言、というより、報道官の内の(特定のだれかではなく)誰かが個別にぽろっと話をした、という内容なのか分かりません。(ニュースによくある”関係者が話した”、”消息筋から聞いた”みたいな感じでしょうか)

ただ、アメリカからしたら、現在推し進めている朝鮮半島からの将来的な撤退を考えたとき、何か朝鮮半島で起こったらアメリカ抜きで日韓が連携して対処する(アメリカは後方支援)、だから日韓の連携強化のためのGSOMIAはなくてはならない、というところ。

また、契約社会のアメリカからしたら「破棄通知の停止」は意味がそもそも分からない、それはつまり「延長」ということ、と当たり前のようにとらえられるはずで、国務省スポークスマンが「renew」(更新)という表現を使っても全然おかしくなさそうです。

今回のまとめ

GSOMIA全文から見たGSOMIAの破棄についてまとめてみれば、

  • GSOMIAには、途中破棄、という規定はない
  • 継続した場合、その効力は協定は、一年間
  • 途中で破棄をする場合には、第二十に定められる紛争解決によって協議がされる必要があり、一方的な通知による破棄はできない

今回騒動のもとになった輸出管理強化(ホワイト国からの除外)の問題というか課題が解決されない限り、またまだ色々な問題が出てきそうなGSOMIA。

本来、輸出管理強化の話とGSOMIAは全く異なる話ですが、いずれにしても輸出管理強化の方で(日本から見たら韓国側の対応次第、ということで、韓国側から見た)何らかの決着が急がれるところです。

関連記事
GSOMIA有効期間途中の破棄で何が起きる?発表時期や可能性

シェアする

フォローする