GSOMIA有効期間途中の破棄で何が起きる?発表時期や可能性

GSOMIA延長継続をめぐり「破棄するぞ宣言」の理由とされたのが輸出管理強化(ホワイト国(グループA)から韓国を除外したこと)。この輸出管理強化の問題は、今後も長らくいろいろな応酬が続きそうな気配です。

果たしてGSOMIA有効期間途中の破棄はあるのか、途中することで何が起きるるのか、発表時期や可能性について少し考えてみたいと思います。

有効期間の規定と破棄

GSOMIAの条約規定(第21条の3)からみれば、以下のように、一旦延長されれば1年間有効とされてます。

  • 継続となれば、一年間効力がある
  • 終了する場合、九十日前に書面により通告する必要がある
  • そうした通告をしない場合、毎年自動的に延長される

ただ、今回のGSOMIA延長において、韓国政府の発表を見れば、

  • いつでも破棄できる、という前提のもと」
    (有効期間の途中でも何かあれば破棄できる)
  • 「破棄といった通告は停止する」
    (ひとまず破棄するといった言葉は取り消す:ということで自動的に1年間有効期間が延長された)

となっており、いつでも破棄する権利を持っている、というような表現です。

仮に有効期間中に「やっぱり破棄する」となればどうなるのか。

破棄しないまでも効力を勝手に停止

まず考えられるのが、韓国政府から日本政府に「やっぱり破棄するぞ」と通告しないまでも、韓国政府内で勝手に、効力を停止する、といった措置をとる、ということが考えられます。

一番よくない状況としては、何か朝鮮半島をめぐる機密情報があり、日本からの情報が必要な場合では日本に要求し(で、日本からは協定に基づき情報が提供される)、が、日本から韓国政府に対し、GSOMIAをもとに情報提供を要求したとしても、情報提供されない、または、提供される情報が必要以上に絞られてしまう、といったもの。

こうなれば、事実上のGSOMIA破棄であり、さらに破棄を公言していないために日本からの機密情報は韓国に提供される、といった「あんまりな状況」となるため、さすがにこれは考えづらい。

ということから考えられそうなのが、韓国側が勝手に効力を停止する場合ですが、この場合、

  • GSOMIAが有効であれば日本に機密情報の提供は要求するようなケースでも、あえて要求はしない
  • 日本から韓国側に機密情報の提供を要求したとしても、期待される情報が提供されない

という可能性は考えられそうなところ。

本当に破棄宣言

または、有効期間中に本当に「破棄する」と宣言する、という可能性を見れば、米国との関係をも考えると「非常に少ない」、とも思えますが、今回破棄しようとしたことから考えれば、可能性は少なくない、とも言えそうです。

勿論「有効期間の途中で破棄する」といった宣言をするには、それを正当化するための理由が必要で、今回の場合では、

  • 「破棄といった通告は停止する」と宣言した時に韓国側が期待した「日本側での韓国のホワイト国指定(グループA)への復帰」が思惑通りに進まないこと

がそれにあたるでしょう。

2019年11月27日の聯合ニュース「輸出規制撤回に1カ月程度必要」 GSOMIA終了前に日本が言及=韓国政府筋 | では以下のように報道されてますが、

韓国政府は今後1~2カ月程度日本の出方を見守った後、変化がないと判断すればGSOMIAの終了を積極的に検討する見通しだ。

ここでいう変化とは、勿論韓国のホワイト国復帰が数か月以内になされる、という韓国側の期待を意味しているのでしょう。

では韓国のホワイト国(グループA)復帰はいつごろなのか。

中央日報の2019年11月27日の記事によれば、 経産省の保坂伸貿易経済協力局長いわく、以下3つの条件を韓国側がクリアしない限り復帰はない。

  • 1)政策対話による2国間信頼関係の構築
  • 2)通常兵器の輸出管理態勢の整備
  • 3)輸出検査の人員補充による態勢強化

これらが最低条件であり、日本政府関係者が「これらには数年かかる見通し」と発言していることも併せて報道されてます。

数年かかる!

GSOMIAは1年ごとに更新するもの。今回のGSOMIA延長がホワイト国(グループA)への復帰をかけた判断だとした場合、輸出管理強化の問題が数年かかるとなれば、韓国側の立場からすると「なんのために延長したのか分からない」ということになるでしょう。

輸出管理強化に関して、3年半もの間行われていなかった局長級の政策対話が12月下旬に行われるよう調整が進められているようですが、この局長級の対話が行われたとして、そこで改めて「数年かかる」ということが確定的になれば、その後の1か月か2か月後、つまり2020年初旬に「やっぱり破棄する」という宣言がなされるかもしれません

途中破棄の条件と過去事例

GSOMIAの有効期間が1年ある中で途中破棄となれば、GSOMIAの第二十条紛争解決により破棄を確定することになります。

つまり、韓国側が破棄を宣言し、日本側が了解すれば、その時点で破棄となるし、日本側が了解しなければ途中破棄はできない、というところ。

GSOMIAは2国間の国際条約とも言えるものですが、2国間の国際条約で過去有効期間中の途中破棄があったか、といえば、今なおその影響が残ると言える第二次世界大戦時の「日ソ中立条約」。

日ソ中立条約は、1939年のドイツやソ連のポーランド侵攻、1941年のドイツに対する英仏の宣戦布告、といった第二次世界大戦中の1941年4月13日に締結(有効期間5年、その後自動延長)。そして日本の敗戦濃厚となる1945年の4月、有効期間をまだ1年を残した中で、ソ連より条約の延長はしない、と日本政府に通達されたもの。

このあたり、有効期間の違いはあれどGSOMIAのパターンと同じです。

ソ連が条約の延長をしない、と日本政府に通達したのち、まだ有効期間は1年あるとして、日本側は条約が維持されていると認識していたようですが、その後1945年7月日本側で対ソ連の作戦準備である「関東軍特種演習」(軍備増強政策)が起きたことで「日本側でも日ソ中立条約は破棄された」とソ連側も認識した、という話があります。

その後の流れはご存じのように、1945年8月にはソ連がポツダム宣言への参加を表明、日本への宣戦布告、満州国、南樺太、千島列島への侵攻となりました。

GSOMIAも、韓国側が一方的に破棄を宣言した場合、破棄宣言に伴い、日本からの情報提供の要求は無視、韓国から日本への情報提供の停止、という流れにもなり、それだけならまだしも、何か報復措置(といっても思いつきませんが)をとられる、というのも考えられそうです。

今回のまとめ

普通に考えれば、GSOMIAが延長された今、またすぐ破棄する、という宣言があるとはなかなか考えづらいところですが、延長のもとになっているのが輸出管理強化(グループAへの復帰)問題。

12月下旬、仮に調整が遅れて2020年1月になったとしても局長級の政策対話がなされ、そこで改めてグループA復帰への道のりの長さが確認されたとしたら韓国側としてはどう考えるか。

またGSOMIA破棄問題にもどるのか、はたまた今回米国からの圧力がかなりあったことから、GSOMIAではなく矛先を変えるのか。

いずれにしても、GSOMIAは安全保障上の問題であり、駐留費用の関係上、朝鮮半島から引き上げたい米国の戦略ともあいまって、破棄することは基本的には考えられないところです。

となれば輸出管理強化の問題が、さらに別のところに飛び火していく、ということになりますが、日本側から提示されている3つの最低条件を1つ1つクリアして普通の関係になることを目指し、東アジア安定と発展に向けて協力体制が強化されていけるとよいですね。

関連記事
GSOMIAは勝手に破棄できる条件は何?外務省全文にある有効期間と終了条件

シェアする

フォローする