イランのミサイル誤射はなぜ起きた?識別信号と民間旅客機が撃墜される謎




イランからのミサイル誤射で民間旅客機が撃墜され、乗員乗客全員の176人が死亡するという痛ましい事件が起きました。

それにしても、これほどの大惨事を招く元となるミサイルの誤射はなぜ起きるのでしょう。人命に直結するため、ちょっとした間違えではすまされないのが軍事関連だと思いますが、民間機と軍用機を間違えての誤射がなぜおきるのかが物凄く不思議なところ。

今回はそのあたりを調べてみました。

撃墜の瞬間映像

ウクライナの旅客機がイラン軍のミサイルによって撃墜される瞬間とみられる映像が報道されています。

ニューヨークタイムズはこの映像について、イランの首都テヘランを飛び立ったウクライナ旅客機の、その飛び立った直後にミサイルが命中した瞬間の映像とみられる、旅客機はその後数分間飛び続けた、と報道しているようです。

実際動画を確認すると、暗い夜の闇の中、小さな光が画面上、左から右に移動し、その後大きな閃光となりますが、この大きな閃光が飛行機にミサイルが命中し爆発した瞬間になるのでしょう。

結果として悲惨にも乗客乗員全員死亡(イラン国籍82人、カナダ国籍57人含む)となりました。

これまでの見解

この飛行機爆破に対し、カナダ人57名を含んでいたからでしょうが、カナダ・トルドー首相からは「イランがミサイルで撃墜したことを示す証拠がある」とのコメントが報道され、また今回イランとの報復合戦模様を呈していたアメリカ・トランプ大統領からも「イラン側でミスを犯した可能性がある」と言及されました。

その後、イランから、誤射だった、という報道がされていますが、単に誤射という問題では済まされない今回の事件。

どうして民間旅客機と軍用機を間違ってミサイル発射となるんでしょうか?

なぜ誤射になったのか

1月11日、イラン軍は以下の発表をしています。

  • ウクライナ機が重要な軍施設に接近してきた
  • こうした中で、人為的なミスよにってミサイルが旅客機に向けて発射された

当時の状況は、アメリカがイランの司令官を空爆で殺害した、ということからイランとアメリカの報復合戦に発展するのでは、といった軍事的な緊張が非常に高まり、世界規模で第三次世界大戦のはじまりが危ぶまれているぐらいの高度な緊張状態。

イランは報復としてアメリカの軍事施設に対してロケット弾を発射する(結果として人名的被害は無し)といったことから、イラン側はアメリカからの報復を非常に警戒していた、というところ。

しかし、いくら高度な緊張状態だった、というのは分かるにしても、民間機と軍用機を間違え、しかもミサイルを発射して撃墜する、となると、どうしてそこまでになるのか。

民間機と軍用機の識別

敵味方識別装置

民間機と軍用機の識別はどうするのか調べてみると、どうやら敵味方識別装置(IFF)、というのがあるようです。

この識別装置は旅客機や艦船に搭載されているもののようですが、電波を発射し対象に変身を要求する、または、要求に対して返信する、というもので、現代では高度に暗号化された識別信号をやりとりするものらしい。

軍用機であれば、最高飛行高度、国籍コード、軍用機であることを示すコードが発信されるようですが、軍用機であっても航空機識別信号を発している場合は中立を意味するとか。

識別信号と3つの可能性

今回のイランによる”誤射”とは、明らかに敵の軍用機、という認識のもと、ミサイルが旅客機を目標として発射された、となると思いますが、そうなるとこの識別信号は旅客機から全く出てなかった、ということになるでしょうか。

通常、というか、旅客機側としても、イランの状況を把握していないわけはなく、軍施設近くを飛ぶ、ということも承知していたでしょう。

そうなれば、当たり前中の当たり前として、自らを守るために航空機識別信号は発していた(つもり)になっていたはず。

しかし実際にはイラン軍からミサイルが放たれた。

となると、可能性としては以下3つ。

  • 1)撃墜されたウクライナの旅客機が航空機識別信号を出していなかった
  • 2)ウクライナ機が航空機識別信号を出していたとしたら、イラン軍側で受信が正しくできていなかった(ので敵として誤認した)
  • 3)ウクライナ機からの航空機識別信号を正しく受信できていたとしても、人為的ミス(高度な緊張状態のための勘違いか、可能性としては意図的)によりミサイルが発射された

1)のウクライナ機が航空機識別信号を出していなかったとなれば、結果として、イランから見て味方の飛行機とは認識されず、高度な緊張状態(アメリカの報復を迎え撃つ状態)の中、敵認定されてしまった、ということになるでしょう。

こうなれば、イランの誤射を非難することは難しく、当時の緊張状態の中、無防備に飛ぶ旅客機側の問題、ともなりそうなところ。

2)のイラン軍側で航空機識別信号を受信できてなかった、としたら、これは明らかにイラン側の問題。ただ、他にも多くの飛行機が上空を通過するのでしょうし、そうした中でこの時だけ正しく受信できてなかった、というのは考えづらい。

ということから、この可能性は低いのでは。

3)のイラン側で航空機識別信号を受信できていたにもかかわらず、ミサイルが旅客機めがけて発射されたとなれば、あとは人為的ミス、となるのでしょうか。

イラン側の発表ではこの”人為的ミス”という言葉が使われ、その後防衛システムが誤認して旅客機を敵として認定した、とされています。

つまり、機械の判定で旅客機を軍用機として誤認した、ということになりますが、これは少しおかしな感じです。

当時他の民間機も複数飛んでいた、とも言われている中、このウクライナ機だけがターゲットにされた、となると、ウクライナ機が発する航空機識別信号がなにかしら間違いが入っていたとも言えそう。

更に、仮にミサイルを打つにしても、ちょっと待て、もう一度確認しろ、とならずに、機械判定のまますぐに発射する、となると、これが人為的ミス、というところになるかもしれません。

極度の緊張状態の中で、「アメリカが報復にやってくる」と信じ込んでしまった結果(ある意味死と隣り合わせの洗脳状態となってしまった結果)、反射的にミサイルを発射してしまった、ということになるのかも。

しかし、ミサイル発射は、簡単にどこかの兵士が、ポチっとボタンを押せば、それ発射!となるものか、というと、さすがにそんなものではないでしょう。

発射係がいるにしても、それを認め判断する人がいて、そこからの命令により発射されると思います。

そうなるとこの人為的ミス、というのは本当にミスなのか、はたまた何かの意図を持ったミスなのか、という疑問もわいてきます。

ロシア製自走式防空システム「トールM1」

その後の報道では今回旅客機に向けて撃たれたミサイルは、ロシア製の自走式防空システム「トールM1」に搭載のもの、とも言われています。

このトールというシステムは、ミサイル発射装置、レーダーを車両に搭載した短距離の拠点防衛システムで、射程12キロ、高度6千メートルの目標を攻撃できるもの。

ミサイルを発射するには、兵士がレーダーで標的を特定、そしてミサイル発射は発射の指示が必要。また、ウクライナ機が撃墜されたときには、ウクライナ機だけでなく他にも複数の民間機が付近を飛んでいた、ということも確認されていそうです。

となると、付近を飛んでいた複数の旅客機の中で唯一今回のウクライナ機が撃墜された、ということにもなるのでしょうか。

そうなるとまた推測も少し変わり、

  • 1)撃墜されたウクライナ機が正しく航空機識別信号を出してなかった
  • 2)意図してこのウクライナ機だけが狙われた

今回撃墜されたウクライナ機にはイラン国籍の乗客も数多く、またイラン側がその後”人為的ミス”との表現ですが自国の非を認めるような報道をしていることから、イランが意図してこのウクライナ機だけを狙った、というのも少し考えにくいような感じです。

となると、残るはウクライナ機が航空機識別信号を正しく出していなかった、という可能性も出てきそうですが、これは今後の更なる調査報告を待つことになるでしょうか。

今回のまとめ

いずれにしても、アメリカのイラン空爆で報復合戦がはじまり、第三次世界大戦にもつながるか、と世界中が心配している中でのこの旅客機事件。

実際の原因究明はもちろんですが、この先の大きな事件につながらないことを祈るばかりです。

個人的にはイランとか紛争のある地域には行く機会はまずないと思いますが、仮に何らかの故障(航空機識別信号のやりとりが正しくできていなかった)となれば、今回のような事件が二度と起きないように対応してほしいものです。

そもそもになりますが、こうした軍事的緊張状態が非常に高い時には、一時的に民間旅客機の飛行を禁止するなど、何か決まりがあればよいですね。

そのために飛び立てない一般の人の中には困る人、怒る人も出てくると思いますが、これはまぁ、台風がきて新幹線が止まり飛行機の運行もとなる、といったことに同じでしょう。

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