二刀流としてメジャーのエンゼルスで大活躍の大谷翔平選手。
メジャーシーズン1年目では、日本人選手としてホームラン歴代1位の19本をかっとばし、20本超えまで時間の問題となってますが、活躍や期待値に対して年俸が異様に低い!(契約上、3年間据え置き模様)
今後の活躍次第では「スーパー2」というものになり、3年間年俸が上がらない、という制限を破る可能性も出て来ますが、そもそもスーパー2とは何なのか。年俸も果たして2年目、またそれ以降はどうなるか、ここで見て行きましょう。
年俸が異様に低い理由
大谷がメジャー挑戦でエンゼルスに入団した時、25歳以下でのポスティング入団(プロ野球において認められている移籍システム)ということで「マイナー契約」でスタートしています。
契約金231万5000ドル、年俸は、メジャー最低年俸54万5000ドル。
(1ドル110円換算で、契約金2億5千万円、年俸約6000千万円)
ドラフト対象外の25歳未満の海外選手の契約は制限があり契約金も大きくなく、またマイナー契約からスタートしているため、メジャーの公式戦で活躍したとしてもメジャー最低年俸しか受け取れない。しかもこの年俸は3年間同じ。
比べるまでもなく、2014年にニューヨーク・ヤンキースと契約した田中将大選手の場合、ヤンキースと1億5500万ドルの7年契約。
(1ドル110円換算で、およそ170億円。MLB史上投手としては5位の契約額)。
田中将大選手と比べてみれば、あまりの金額の違いに今更ながらびっくりです。
普通に行けば4年目から
通常マイナー契約からスタートした場合、
- 3年目までは最低保証額の年俸
- 4年目からは「年俸調停権」が得られて年俸が上がる、
という流れ。
年俸調停権とは、球団と年俸の交渉ができる権利(年俸調停の申請権)ということで、球団との交渉においては、第三者を調停人として立てることができる。でもこれは4年目からの話。
マイナー契約スタートで3年間は年俸の交渉ができない(最低保証額の年俸が3年間続く)といった仕組みのため、仮にその3年間の間に、
- MVPをとる
- 新人選手賞をとる
- サイ・ヤング賞を受賞する(メジャーリーグでその年に最も活躍した投手に与えられる賞)
- ホームランなどの活躍で何か個人タイトルなどをとる
といったことがあったとしても、悲しいことに年俸には影響が出ない(所属球団の言い値になる。つまり現状据え置き)
3年間メジャーの公式戦にでた後の4年目から、やっと「年俸調停権」が得られて球団と年俸の交渉ができる、ということになりますが、田中将大選手のように出だしから複数年の大型契約ができるわけでなく、徐々に年俸が上がっていく。「複数年で数百億円」などの大きな契約ができるのは7年目からだったりします。
良く例に出されるロサンゼルス・ドジャースのクレイトン・カーショー(投手)の場合では、以下のような経過をたどってますね。
- 最低年俸でスタートし(大谷選手に同じ)
- 4年目(2011年オフ)に年俸調停権を獲得。
2年総額1900万ドル(約21億円)の複数年の契約。 - その後、7年契約で総額2億1500万ドル(約236億5000万円)
この例に見るように、田中将大選手の7年1億5500万ドル(約170億円)といった「複数年で数百億円」というところには一足飛びでは行かないが、それでも4年目で現状の最低保証額の年俸54万5000ドル(約6000千万円)から、2年1900万ドル(約21億円)といった、およそ35倍に跳ね上がる、という可能性は十分ありそうです。
ただ契約によるところはありますが、メジャーではタイトルや働きによってはボーナスが付くことが一般的。
投手で言えば、先発回数や投球回数に応じて出来高ボーナスが付いたり、例えば松坂大輔の例を見れば、サイ・ヤング賞やMVP獲得でボーナス約5000万円の契約になっていたとか、ドジャースの左腕、3度もサイ・ヤング賞を受賞しているクレイトン・カーショウでは、もう一度サイ・ヤング賞を受賞すれば、ボーナス100万ドル(約1億円)が出るとか。



ドジャースのクレイトン・カーショウ
大谷翔平も年俸は低いものの、今シーズンの活躍で何かタイトルや賞をもらうことになれば(契約によりますが)ボーナスが付く、というのは考えられそうです。(ボーナスが年俸超えたりして(笑))
スーパー2で3年目から爆上げか?
スーパー2という例外
ここまで見てきたように、通常マイナー契約からスタートした場合、3年目までは最低保証額の年俸、4年目からは年俸調停権が得られて年俸が上がる、という流れ。
大谷選手の場合、残念ながら2年目も3年目も最低保証額の年俸、ということになりますが、実はこれにも例外があります。
その例外というのが「スーパー2」。
- スーパー2とは、メジャー2年目でも、ある一定の条件を満たせば、年俸調停権を取得できる
といった仕組みのこと。
このスーパー2となるには「サービスタイム」(MLS:Major League Service time)と呼ばれるものが非常に重要なポイントとなってきます。
サービスタイムとは
サービスタイムとは簡単に言えば「1軍選手としての登録期間」。
メジャーでは、どれだけ1軍選手としての登録機関が長いのか、つまり、公式戦でどれだけの期間働いているのかにより大事な資格や権利(FAや年俸調停権)が与えられる仕組みになってます。(ここが日本とは少し異なる)
ということから、2軍にあたるマイナーリーグに出てても、このサービスタイムにはカウントされない。
サービスタイムがカウントされる(1軍選手として期間がカウントされる)には、
- 1)25人枠の選手の期間
- あくまで1軍ベンチ入りに当たる25人枠の選手(アクティブロースターと呼ぶ)としての期間と、
- 2)40人枠の選手の期間
- 9月1日からはその25人枠の選手を含めて40人枠に入っている選手の期間
(いつでも公式戦に出られる登録がされている選手)
- 9月1日からはその25人枠の選手を含めて40人枠に入っている選手の期間
この2つがサービスタイムとしてカウントされることになります。
MLB(メジャー)では、1年を172日(総試合数162日(162試合)+ 移動日10日)と計算され、サービスタイムが3年(516日=172日×3年)に達した選手が年俸調停権を得られる、といった仕組みとなっています。
第一線でしっかり働いた者だけが権利を得る、ということなんですね。
ちなみにサービスタイム(MLS)は、例えばサービスタイムが1年であれば、MLSは1.000、2年と50日であれば、MLSは2.050、3年と120日であれば、MLSは3.120 というように表現されます。(1桁目が年数、小数点以下3桁が日数)
スーパー2の条件
サービスタイムが権利を得る上での大事な指標となり、年俸調停権を3年ではなく2年に達した時に得られる条件、つまりスーパー2となる条件は以下の通り。
- サービスタイムが2年以上3年未満であること
- 前年シーズンでアクティブロースター(25人選手枠/40人枠)登録が86日以上(つまり1年の半分以上)であること
- メジャー在籍2年以上3年未満の選手の中で、サービスタイムの累積の長さが上位22%に入ること
大谷選手の場合、2018年シーズンでは故障者リストには入ったものの、2019年も同様に活躍すれば、このスーパー2となる可能性が高そうです。
1年目、2年目の年俸は低くても、3年目からググーンと伸びていく姿が想像できますね。
大谷選手の年俸とスーパー2まとめ
- 大谷選手の2年目の年俸は、1年目同様、メジャー最低年俸54万5000ドル(約6000千万円)
- 基本は3年目までメジャー最低年俸で、年俸調停権により4年目から年俸が跳ね上がる
- ただし、2年目が終了した時点でスーパー2となれば、年俸調停権を1年早く得られ、年俸も跳ね上がる
- スーパー2条件は、以下3つ
- サービスタイムが2年以上3年未満
- 前年シーズンでアクティブロースター(25人選手枠/40人枠)登録が86日以上
- メジャー在籍2年以上3年未満の選手の中で、サービスタイムの累積の長さが上位22%に入ること
日本のプロ野球では、ある意味日本らしく年俸の額は球団 と選手の中間あたりで決まる、ということが多いようですが、メジャーの年俸調停では、選手か球団どちらかの主張で決まるとのこと。
大谷選手が更に活躍を続け、スーパー2となって年俸調停権を1年早く得れば、球団と調停を行い、年俸もババンと跳ね上がる、というわけです。
お金よりも夢を追う、ということでメジャーに早くから渡り、二刀流なんてメジャーで通用するものか、メジャーをなめている、といった批判もなんのその、結果は大活躍で物凄いことになってます。
これからも更に活躍を続け、スーパー2となった!というニュースが待ち遠しいですね!
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