東大生コロナ留年で大炎上!?診断書受取り拒否の理由や経緯と今後

コロナ禍で大学の講義を受けるのも難しくなっている昨今、東大生が新型コロナ陽性のため必須科目の講義を欠席せざるを得ず、でも大学側が何の対応もしてくれず単位を落として留年する、ということが報道されているようです。

診断書の受け取りも拒否された、ひどい、みたいに、一見すると大学側がコロナ禍の現状を何の考慮もしてないようにも見えますが、果たして実際はどうなのか。

なぜ診断書の受け取りが拒否されるのか、学生がなぜ記者会見まで開いて訴えているのかを含め、事の経緯と問題点の整理をしてみました。

なぜ記者会見までするの?

実名で記者会見を開いてまで訴えているのは杉浦蒼大さんという東大の理科3類の2年生。(超難関を突破して東大に入学された方になりますね)

記者会見の様子はテレ東で2022年8月4日に報じられてます。

ここでの主張を整理してみると以下のようになるでしょうか。

  • コロナ禍下での大学の対応については自分だけの問題と思ってないから
  • 4~5月に全6回となる必須科目のオンライン受講
  • このオンライン受講は出席と提出されたレポートで成績評価する
  • コロナ感染で授業欠席で単位が不認定となり留年となった
  • 症状が重くてすぐ連絡ができなかったことを診断書の提出とともに補講の対応を求めたが、診断書の受け取りを拒否された
  • 東京大学では、感染した学生への対応は教員の裁量に任されている

記者会見まで開いて訴えている理由は、自分だけの問題ではないと思っているから。

これだけ見ると、コロナ感染で欠席は致し方なかった、大学側ももうちょっと配慮してあげたら?と思いますが、実際の経緯を整理してみると、事情は少々異なるようです。

経緯を整理

色々な報道がありますが、経緯が詳しく書かれている日刊スポーツの記事を中心に事の経緯を簡単にまとめると、以下のようになります。

必修となる実験科目(基礎生命科学実験)をオンライン受講(全6回)。

  • 5月17日:授業を欠席(体調不良)
  • 5月19日:コロナ陽性判明
  • 5月24日:授業を欠席(症状継続のため)
  • 5月25日:担当教員に欠席理由を連絡
    • 5月17日の欠席:代替措置認められず
      理由:8日以上たっているため:東洋経済
    • 5月24日の欠席:代替措置が認められた
      リポート提出指示と診断書の提出が求められる
  • 6月17日:単位不認定の成績発表(基礎生命科学実験)
    同日、診断書を提出するも受け取り拒否される

この6月17日の単位不認定の発表を受け、5月25日ごろに求められていた診断書を教員に提出したが「既に成績が確定した」という理由から受け取り拒否、という流れのようですね。

この時点で学生は「5月17日が欠席となったため単位不認定となった」と考えたから、以前求められていた診断書をあわてて送った、でも受け取ってもらえなかった、ということになりそうです。

ただ、そもそも担当教員からは、5月17日の欠席分は代替措置が認められない連絡を受けてます。(つまり5月17日分は診断書があろうがなかろうが1週間以上連絡がなかったので代替措置は認められないとのお達し)

そこから6月17日の発表まで、5月25日に求められていた診断書を送らず、20日間以上も放置していた中で、すでに成績が確定しているので(診断書はもうあってもなくても意味がなくなっているので)受け取ってもらえなかった、ということになりそうです。

欠席連絡しなかった問題点

5月17日の欠席について、報道では
「症状が重くてすぐ連絡ができなかった」
「診断書の提出とともに補講の対応を求めたが、診断書の受け取りを拒否された」

とありますが、診断書が提出されたのが、5月17日から1か月後となる成績発表の日の6月17日。

さすがにこれだけ時間がたち、さらに成績も確定されているといったことからすると、大学側の対応を変えるのは敷居がものすごく高そうです。

報道によると東大では、欠席届の基本は、午後1時開始の授業では「その日の午前11時までに連絡」することになってます。(今回の授業は午後1時開始)

またコロナ感染の場合には「教員の裁量に任されている」ともあります。

こうした中、5月24日の欠席ではその日ではなく次の日5月25日の連絡になりましたが、代替措置が認められていることから、ある程度の幅をもって大学側も対応していることが分かります。

問題となっている5月17日から欠席連絡した5月25日の間に他の講義もあったとしたら、それらの講義も全て欠席連絡なしで欠席していた、ということになるのか、気になりますね。

その後の対応

学生は5月17日の欠席が単位不認定の理由と考えたことから、5月17日の補講措置を求めて教務課や教養学部長、教務課超へと相談。

  • 6月17日:教務課へ相談(成績発表の日)
    担当教員との間で解決するよう指示あり
  • 6月19日:担当教員に「成績確認願」を通して、また教養学部長と教務課長へは内容証明郵便にて撤回要求
  • 6月23日:代替措置も単位も認めないとの回答あり
  • 6月24日:成績について大幅な修正を確認

成績の下方修正について学生は以下のように主張しています。

成績が発表された6月17日以降に、同科目の成績の下方修正が行われ、合格点の50点以上だった自身の点数が大幅に減点された

ヤフーニュース(日刊スポーツ)

普通に読むと成績が発表されたときは「合格点に達していた」と思っていたのに、その後「大幅に減点され合格点に達してない成績になった」と読めてしまいそう。

そもそも合格点に達していたのであれば、6月17日の成績発表で単位不認定となるのも変ですよね。

この成績の下方修正について大学側では「5月17日の評点について、誤って他の学生の評点が入力されていたので修正した」とコメントしているようです。

多分ですが、学生側、大学側の認識は以下のような感じになるでしょうか

  • 学生側
    • 成績発表前:欠席はあったけど、合格点の50点に達しているから問題ないだろう
    • 成績発表後:合格点に達しているはずなのに単位が取れない。欠席が問題になったのか!?
      ⇒ 5月17日の欠席について代替措置を改めて要求(6月19日)
  • 大学側
    • 6月19日に成績確認願が出されたので、担当教員が改めて成績をチェックしたところ、5月17日が欠席になっているにもかかわらず他の学生の評点が入力されていたので修正した(5月17日の評点が多分ゼロになったので大幅減点となった)

これにより、学生側としては「5月17日の欠席の撤回」と「下方修正された合格点に達しない成績」の説明を求めている、ということになるでしょうか。

でも成績発表前に自分の点数を確認できていたとしたら、5月17日分の点数がなぜか加算されているのに気が付きそうなものですが、そうしたことが確認できるシステムにはなってない、ということになるでしょうか?(この点、ちょっと不思議な感じ)

大学側の主張と内容整理

大学側も報道に対し、総合文化研究科長・教養学部長の名前でコメントを公表しています。(大学側のコメントはこちら

< 内容を要約 >

  • 今回の件は、コロナに感染し授業を欠席した学生が、救済措置を受けられず単位を落とした、ということではない
  • 1)欠席について
    • 該当の学生は欠席する時の申請方法(申請システムの使い方)を知っており、実際5月17日にそのシステムにアクセスしていることが確認されている。
    • ということから、欠席に対して所定の手続きを取れないほどだったとは認めずらい
    • つまり、欠席する場合の所定の手続きを踏まなかったことが問題
  • 2)単位不認定について
    • 単位不認定は、5月17日の欠席が原因ではない
    • 各授業への出欠状況、出席した授業の課題内容と評価に照らし合わせての結果

大学側の説明では、各授業への出欠状況、出席した授業の課題提出内容と評価に照らし合わせて単位の認定・不認定を判断する、ということで、5月17日の欠席が原因ではない、としています。

ということは、逆に言えば5月17日が仮に出席となっていたとしても、総合判断で単位不認定という評価になっていた、ということを説明していることになるでしょうか。

5月17日の評点の修正によって、成績が合格点に達してないものになったとしたら、5月17日に代替措置を認めその提出される課題の内容と評価により、合格点に達するかどうかも変わる、ということでしょうか。

欠席自体が単位不認定の理由ではない、というのは大学の説明ですが、欠席によって評価対象となる課題の提出がなかった、その点数が加わらなかった、ということであれば、結果として欠席も単位不認定の要因と考えられそうですが...

問題点と課題の整理

ここまでの情報で改めて問題点と課題の整理をしてみると...

  • 5月17日の欠席について
    • 学生は5月17日に欠席連絡システムへのアクセスしていることが確認されていることから、この日や次の日に本当に欠席連絡できない状態だったのか説明が必要そう
    • でも診断書の発行依頼したのが1か月もの後の6月17日だし、客観的に信頼できそうな説明も難しそう。
    • 5月17日の次の日には内科を受診してPCR検査しているので、欠席の連絡ができないほどとは考えられない、など思われてしまいそう
  • 教員の裁量にまかせられているについて
    • 教員側もコロナの場合では最低何日以内に連絡すること、など最低ラインを周知しておけばよかった
    • コロナといっても個人個人で症状の重さも異なることから最低ラインが決められない、という場合でも、とりあえず最低は決めておき、それを過ぎた後は診断書などを元にケースにより判断、などしておけばよかった

こうしておけば、単位不認定の結果になった場合、学生から見て欠席が原因となったか分かって良さそうですよね。

学生の未来はどうなる?

今回の件では、事の経緯を普通に見てると、学生からの「連絡が非常に遅い」、大学側の「欠席が単位不認定の理由ではない」、ということから、大学側の対応が変わるのは難しい感じに見えます。

今回は「基礎生命科学実験」という講義が対象となってますが、東大の理三では必須扱いの講義のようで、この単位を落とすと3年へと進級できず、さらに留年ではなく(2年にとどまることが出来ず)「降年」(1年に戻るという東大特有のシステム)という扱いとなるようです。

新型コロナに感染さえしなければ...というところですが、5月17日の欠席について、8日以上経過しているので代替措置は取れない、と教員側がいっていることから、留年ではなく降年にもつながる非常に重要な単位なだけに、せめてもう1日早く(1週間以内)に連絡出来ていれば良かったですよね...

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