ベネズエラのハイパーインフレ率の理由や原因!現在と今後をドイツとジンバブエから探る

南米の世界最大の石油埋蔵国ベネズエラ。
ここが今空前絶後のハイパーインフレの真っただ中。

なんと年内(2018年)で物価上昇率100万%に達する!更に2019年はインフレ率1,000万%とのとんでもない見方も出てきており、その理由や原因、またベネゼエラに暮らす人々の現状は一体どうなっているのか。

今後についても、ドイツやジンバブエのハイパーインフレの例から探って行きましょう。

ベネズエラのハイパーインフレの惨状

南米のベネゼエラで爆走するハイパーインフレーション。

インフレ率が年内になんと100万%に達すると予想され、デノミ(通貨単位の切り下げ)は、8月20日にはなんと

  • ゼロ5つを切り下げる
  • つまり紙幣の価値が10万分の1になる

といったもの。

ベネズエラの通貨は「ボリバル・フエルテ」ですが、これが「ボリバル・ソベラノ」にかわり、

  • 「10万ボリバル・フエルテ」を「1ボリバル・ソベラノ」へ

一体全体、なんでこんなことになっているのでしょう?

  • ※)ボリバルについて
    • スペイン系の姓。スペインのバスク地方にある地名が発祥。
    • フエルテは「強力」。ソベラノの意味は「主権」。
    • ボリバル・フェルテはそれまでにインフレによって下がった価値を押し上げる、という意味でつけられたとか。

ハイパーインフレーションの背景

石油価格の下落が引き金に

ベネズエラは世界最大の石油埋蔵国。
石油を主要産業とし、収入の多くは石油に依存する国(輸出の8割が石油)だったのが、2014年の石油価格の下落で一気に窮地に陥った。半値以下に下落し、ベネゼエラの財政は一気にガクンと傾くことに。

石油価格の下落も一時的なものならよかったが、この石油価格の下落は長引き、オイルショックへと発展。

そこでベネズエラの取った対応は、なんと「強制的な外資系石油関連業者の国外追放」で、これにより、

  • 石油関連の技術者が大量に海外に流出し、
  • 技術者がいなくなったことから、
  • 頼みの綱の石油関連施設が老朽化。
  • 火災なども頻発するようになり、
  • 石油生産も半減することに。

石油の価格も半分、石油の生産も半分で、1/2 x 1/2 で1/4。
つまり国家収入はざっくり1/4となり大打撃です。
(年収1千万の家計に例えれば、一気に年収250万までダダ下がり)

アメリカの経済制裁にノックアウト寸前

ここで出て来るのがアメリカで、ベネズエラを民主化に導きたい(つまりアメリカ陣営に引き込みたい)という思いからか、2017年にはアメリカ・トランプ政権が独裁体制のマドゥロ政権に対し経済制裁を実行。

制裁内容としては、

  • ベネズエラ国債とベネズエラ国営石油会社の社債の新規取引禁止
  • マドゥロ大統領や政界や軍幹部のアメリカでの資産凍結

資産凍結っていうのは痛いですね。

更に2018年5月には、大統領選を強行したベネズエラ政府(マドゥロ大統領が再選された)に対して追加の経済制裁を実施。

  • ベネズエラ国営石油会社が売掛金を売却したり、資産を担保に資金を調達を禁止

ロシアや中国とマドゥロ政権との連携を封じ込める、といった対ロシア、対中国への対抗措置だったようですが、ベネズエラはもうボロボロです。

参考までに、ベネズエラ基礎データ (外務省)にみる主要貿易相手国は以下の通り

  • 輸出:米国,インド,中国,シンガポール
  • 輸入:米国,中国,ブラジル,コロンビア

政治的には反米、と言われるベネズエラ、でも、米国依存の国であることが分かりますね。

とどめは大統領の政策

さて困ったマドゥロ大統領。
ここで取った措置が、財政的に裏付けのない最低賃金引き上げや補助金の乱発でした。

これが見事にはずれ、結果更にインフレが悪化した、ということで、ベネズエラはもう泥沼状態となっています。

こんなことから、インフレ率が年内になんと100万%に達すると予想されているんですね。

現在のハイパーインフレ率が超絶

そんなベネゼエラのハイパーインフレぶりはと言えば、

  • 物価は2016年で約300%、
  • 2017年では約1130%上昇。
    (1年で100円のパンが3倍の300円、更に300円のパンが11.3倍の3330円へ)

当時IMF(国際通貨基金)は2018年はインフレ率は2530%となると予測してたところが物凄いスピードでこの予想を追い抜き、ベネズエラ議会が発表した2018年6月時点のインフレ率は年率4万6305%。
(2016年の100円のパンが2017年には3330円となり、2018年6月頃には更に463倍、約154万円ぐらいになった、ということになるでしょうか)

今ではIMFからは年内にも100万%に達すると予想され、インフレ上昇ペースが超加速。

参考)
以下の記事では2019年の年間インフレ率を1,000万%と予測、なんてことも書かれてますね。
インフレ率130万%に、2019年1月の大統領就任に野党が抵抗

これらから見れば、

  • 2016年で約300%、
  • 2017年で約1130%
  • 2018年で100万%!

2018年1年で100万%って凄すぎませんか...
(モノの値段が1万倍に跳ね上がる、ということですね)

物凄いスピードですが、

  • 2016年で100円だったパンが、その年には3倍の300円へ。
  • 2017年には11倍の3300円。
  • 2018年には1万倍の3千300万円

3年たったら100円のものが3千万円になった!
(計算あってるのかな、これ...)

これに加えて上の方で紹介した記事の予想通り2019年にはインフレ率1,000万%ともなれば、更に10万倍。2016年100円だったパンが2019年には3兆円ぐらいになる、ということになるのでしょうか。

自分の資産ならこれほどうれしいことはないですが ^-^;)、モノの値段がこうなったとすると、酷過ぎるを通り越して「もう打つ手全くなし」ですね。

ベネズエラの現状

そんなベネゼエラの現状はどうなっているのか。

  • 紙幣がない!
    • お金の桁が上がり過ぎて(お金の価値が下がり過ぎて)当然紙幣の発行は追いつかない。紙幣が足りないので銀行前には人だかりで口論も。(口論したところで紙幣はない)
  • ものが高すぎ!
    • ものが高すぎて買えないので、ごみの中から食料をあさる人。商店も品物が買えないので、開いている商店もごく一部。(開いているだけ凄いですね)
  • 切符さえも買えない
    • 交通機関も切符が買えない、というか、いちいち対応もできないので(券売機も使えないしで)切符が発行できずに地下鉄も無料化へ。(でもお腹の足しにはならない)
  • 配給品に頼る
    • 外貨不足で生活に必要な物資を十分に輸入できず、生活用品がまったくなく、配給品に頼るしかない。(学校の先生が国営スーパーの買い出しにいって授業ができないとか)
  • 最低賃金
    • 最低賃金は月1ドルほど(今はさらにひどくなっているかも)。
  • 医療も受けられない
    • まともな食事などできるはずもなく、医療も受けられない。国民が相次いで海外に脱出している状況とか。
  • 食べ物と交換
    • 物凄いインフレのために紙幣の供給が追い付かない、といことで、実際市民の間ではお金で物が流通している、というより、食べ物との物々交換になっている模様

といった、もう人が生きていける場所ではなくなっているようです。

仮想通貨が突破口か

マドゥロ大統領は、もう紙幣ではなく2月に発行した仮想通貨「ペトロ」が「ボリバル・ソベラノ」(新通貨)の価値を支えると言っているらしい。

名前がかわいらしいこの仮想通貨「ペトロ」、実は日本人がベネズエラ中央銀行の講演会で提案、というかプレゼンしたものらしく、それを採用した、という噂がありますね。(誰だ!?)

「1ペトロ」に「1バレルの原油が担保されている」、ということで1億ペトロ発行でも誰も買わないとかで (そりゃ危なさそうですし仮想通貨も今下火になってるし ^-^;)投資家などはまず見向きもしないでしょう。実際には公的機関で使用されている、というのが現状のようですね。(ということは、ベネズエラは今後もかなり危ういという事です)

ドイツとジンバブエはどうだった?

専門家たちは、今回のベネズエラのハイパーインフレは、過去にドイツとジンバブエで起きたハイパーインフレとよく似ている、と言っているようです。

では、ドイツ、ジンバブエのハイパーインフレはどんなものだったのか。

ドイツのハイパーインフレ

第一次世界大戦で敗北したドイツ帝国。

ドイツは戦時からドイツ封鎖によって経済も下り坂で、そこへ敗北による多大な賠償金(1320億金マルク ※1)が来て、もうダメ状態だった。

※1)1320億金マルク
当時のドイツのGNP(国民総生産)20年分相当)。最近の
日本のGNPは500兆円ぐらいなので、現在に置き換えれば1京円(1万兆円)ぐらいの感覚(どっひゃ~)

そこへ追い打ちをかけるようにフランス・ベルギーにドイツ屈指の工業地帯(ルール地方)を占領され、ドイツ財政は破綻へまっしぐら。

経済がダメダメなところにこの工業地帯の供給能力も奪われ、そこでハイパーインフレとなって、物価は一気に2万5千倍へと物凄いことになりました。

パン一個が1兆マルク、100兆マルク紙幣も発行される、といった異常ぶりの中、土地や不動産を担保にした臨時通貨の「レンテンマルク」を導入したことで、インフレもどうにか停止に。(後に「レンテンマルクの奇跡」と呼ばれた)

1923年発行の5兆マルク紙幣

その後アメリカが賠償金支払いの手続きに参加。ドイツも金本位制(金(ゴールド)の価値を基準に貨幣の価値を定めるもの)に戻って経済回復を図った。

でも、運悪く1929年には世界恐慌が来て、ドイツ経済は再び崩壊。失業率もなんと44%にもなったところが、ここにでてきたナチス政権による金融緩和や建設業、自動車産業などの産業政策で景気を回復させて立ち直った、という流れ。

一番のポイントは「お金の価値に関して不動産を担保にした貨幣の導入、金本位制に戻った」、という点と、「自国の経済政策」、というところになるでしょうか。

ジンバブエのハイパーインフレ

ジンバブエでは、国内の白人農家を国外へ追放した結果、主要産業の農業が壊滅。そこへ大規模な干ばつも重なってダブルショックで大規模なモノ不足に突入。

そうなると治安悪化や富裕層の国外逃亡といった悪循環に陥り、2000年代には猛烈なインフレが起き、2008年にはなんと年率220万%にも!100億ジンバブエ・ドルとかも発行されることに。

1000億ジンバブエドル紙幣

2008年には約14桁(1ドルが14兆へ?!)ともなり、最終的には100兆ジンバブエドルまで発行されることになった。

2009年に1兆ジンバブエ・ドルを1ジンバブエドルへと12桁切り下げるデノミを行い、最後は公務員給与を米ドルで支払うとなって、ジンバブエドルは紙くずとなるが、外貨使用によりインフレは沈静化した、という流れですね。

ドイツの場合ではお金の価値を金(ゴールド)を基準にし、ジンバブエの場合では自国通貨を捨ててお金の価値を外貨基準にした、というところが共通してそうですね。

今や世界経済に深刻な影を落とすトルコショック。 このトルコショックはなぜ、どういった原因や理由で起き、また今後どうなるのか、いつまで続くのかをここで分かりやすく解説していきます。

今後はどうなる?

ベネズエラでは仮想通貨のペトロ(1ペトロに1バレルの原油が担保されている)に突破口を見つけようとしてますが、石油価格が頼りにならない現在、このペトロ自体の信用もそもそもされない、ということになりますね。

となると、ドイツやベネゼエラのように、貨幣価値を土地やゴールド、外貨など信用のおけるものにしない限り、デノミを行ったところで、またその通貨がハイパーインフレになる、という見通しかないでしょう。

ベネズエラが立ち行かなくなれば(つまり破綻すれば)当然マドゥロ大統領の政権を倒すなどの内乱へとつながり、更に泥沼化へと進むのかもしれません。

マドゥロ大統領は人民元を使う、とか言っていたこともあるようで、なにか世界的な大きな引き金にならないことを祈りたいですね。

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コメント

  1. より:

    %と倍を混同してますね。
    インフレ率300%は3倍なので、100円のパンは300円になります。
    100万%は1万倍です。

    • Danny より:

      ご指摘、ありがとうございます!
      インフレ率の計算を勘違いしてました。
      該当箇所を修正しました。