平和七人委員会の名前をメディアで見る機会もありますが、正しくは「世界平和アピール七人委員会」(World Peace 7)というようです。
メディアでも取り上げられるとすると、この平和七人委員会は社会的に影響力も大きいとも言えますが、どんな委員会でしょう。
7人のメンバーには誰がいて、どんな活動をしているのか調べてみました。
世界平和アピール七人委員会とは
世界平和アピール七人委員会(平和七人委員会)とは、今からさること約70年前の1955年に平凡社社長・下中弥三郎さんの提唱によって結成された委員会。
政府関連の委員会とか何か特別な資格を持つ集まり、ということではなく、志を共にする有志が集まり活動しているグループみたいにも見えますが(1市民グループ?)、そこから発せられるメッセージは大手メディアも取り上げることから、発言力は非常に大きい、と考えても良さそうです。
結成された1955年は第2次世界大終戦からまだ10年後。
時代背景的にどんな年だったかを見てみると、以下のような出来事があったようです。
- 1月:天の声解散
(鳩山一郎総理大臣が衆議院解散をした日の理由を尋ねると「天の声を聞いたから」と答える) - 4月:アルベルト・アインシュタインが天に召される
- 5月:ワルシャワ条約機構締結
(NATOに対抗した社会主義国家の軍事機構) - 6月:日ソ交渉開始
(ソ連(当時)はサンフランシスコ平和条約に対して署名拒否したので個別交渉開始) - 8月:第1回原水爆禁止世界大会開催
- 9月:ジェームズ・ディーンが事故でお亡くなりに
- 10月:社会党再統一
(分裂していた日本社会党が再統一され55年体制へとつながる) - 11月:サイ・ヤングがお亡くなりに
(アメリカメジャーリーグの投手。サイヤング賞としてその名はいまだに残る)
ジェームズディーンとかサイヤングは置いておくと、ワルシャワ条約機構とか日ソ交渉開始、水爆禁止世界大会など、先の大戦からの影響が非常に強く残っていた時代。
こうした時に平凡社社長・下中弥三郎さんの提唱で作られたのが「世界平和アピール七人委員会」で、当時の7人は以下のメンバー。(敬称略)
- 下中弥三郎
平凡社の創業者、教員組合の創始者、労働運動や農民運動指導者、世界連邦建設同盟理事長 - 植村環
日本で2番目の女性の牧師、婦人運動家、日本キリスト教会の指導者、日本YWCA会長 - 茅誠司
物理学者、第17代東京大学総長、日本学術会議会長、公益社団法人「小さな親切」運動本部初代代表 - 上代たの
英文学者、平和運動家、第6代日本女子大学長、日本婦人平和協会会長 - 平塚らいてう
思想家、評論家、作家、フェミニスト、女性解放運動家 - 前田多門
文部大臣、日本育英会会長、ユネスコ日本委員会理事長、ソニーの前身「東京通信工業」の初代社長 - 湯川秀樹
物理学者、日本人初のノーベル賞受賞
その後何らかの理由でメンバーが抜けると、都度代わりのメンバーが入るようですが、誰もが知っているであろう方では、川端康成、井上ひさし、の名前もありますね。

現在のメンバーは誰?
この平和七人委員会、現在誰がメンバーになっているかは、現在の委員プロフィールで詳細が確認できます。
- 武者小路公秀(国際政治学者、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター特任教授)
- 大石芳野(写真家、紫綬褒章(2007年))
- 小沼通二(物理学者、慶應義塾大学名誉教授)
- 池内了(物理学者、名古屋大学名誉教授)
- 池辺晋一郎(作曲家、東京音大名誉教授)
- 髙村薫(作家、第109回直木賞受賞)
- 島薗進(宗教学者、東京大学名誉教授)
この中で武者小路公秀さんは2022年5月にお亡くなりになっているので、2022年8月現在では6人のメンバーによる委員会となっているでしょうか。
ちなみにこの委員会に加わる条件としては以下となっているようです。
- 実際の政治にタッチしていない人(政治家でないこと)
- 自由人で民主主義陣営の人
- 世界的に平和運動を行い得る人
実際の政治にタッチしていない、というのは、政治家でもなければ政治家の政治活動にも一切関連していない、ということになるでしょうか。
そうした中で民主主義を基本として世界平和を考え行動する人がメンバーの条件ということになりそうです。
最近の活動は?
旧統一教会と政治家に対するアピール文含めて、2022年では以下のようなメッセージが出されているようです。
(語弊があったらすみませんが1行から3行要約。詳細はリンク先で)
- 2022年8月:搾取・収奪常習を問われる集団に寄生する政治家の即退場を求める
- 安倍晋三元首相の事件では、統一教会が名称を変えて生き延び、親の入信で苦難を強いられた子どもたちの実態が浮かび上がった
- 安倍元首相の祖父にまで遡る政治家と旧統一教会の深すぎる関係から、安倍元首相の国葬には強烈な違和感がある
- 安倍元首相の森友問題や桜を見る会の公私混同、困窮者の再起を阻む日本社会も政治がもたらした帰結であり、旧統一教会に寄生する政治家の即退場を求める
- 2022年6月:平和国家として歩む――軍事力増強とは異なる道を
- ロシアのウクライナ侵攻、中国の軍事大国化に関連して、日本も軍事力強化へ進むと平和路線の否定であり逆に戦争を招きかねない
- 粘り強い相互理解を重ね平和的共存を追求し続けるべき
- 2022年5月:今こそ核戦争回避に向けて結束した行動を
- 核戦争の回避のために全世界がプーチン、ゼレンスキー両大統領を交渉の場につかせ停戦協定が妥結するまで粘り強く説得しする行動すべきである
- 2022年2月:ロシアによるウクライナへの軍事侵攻即時中止を求める
- ロシアはウクライナ侵攻を直ちに中止、撤退を求める
- 武力ではなく、平和的な話し合いによって解決するべき
2021年には核兵器廃絶や、安倍政権、菅政権での不正疑惑などで国民の声が政治に届かない、新型コロナ対策では科学的知見に基づき進めること、オリンピックは医療崩壊を加速させるので開催すべきではないこと、などのアピール文が出され、2020年では、日本学術会議会員の任命拒否は許容できない、とするアピール文も出してるようです。
随分さかのぼると、名護市辺野古への普天間飛行場移設計画の中止、特定秘密保護法案の廃案、テロ等準備罪への反対、安倍内閣の退陣を求める(2018年)、といった内容もあるようですね。
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