5歳から17歳(幼稚園児から小学生、中学生、高校生まで)の小児を含めた子供の肥満を見る場合、文部科学省、日本肥満学会では、身長別標準体重(年齢、性別、身長別の標準体重)で計算する「肥満度」を用いています。
ここではこの「肥満度」の自動計算やその計算式、基準値となる値を見て行きますが、この「肥満度」と以前使われていた「ローレル指数」による計算もあわせて紹介しています。
- 18歳以上の肥満度の自動計算はこちら
- 6歳~17歳の肥満度の自動計算はこちら
- 身長別標準体重による肥満度の自動計算とローレル指数による自動計算(この記事)
- 1歳~5歳の肥満度の自動計算はこちら
肥満度の自動計算
以下、男女の選択、年齢の選択(5歳から17歳まで)をして、
実測した身長、体重を入力してみてください。
その下に自動計算した結果が表示されます。
肥満度の判定 | 標準体重 | 標準体重との差 | 肥満度 |
— | — | — | — |
肥満度 | (性別・年齢別・身長別) 肥満度に対する体重の範囲 |
やせ(高度) (肥満度:-30%以下) | — |
やせ (肥満度:-20%以下) | — |
普通の体重 (肥満度:-20%~20%) | — |
肥満(軽度) (肥満度:20%以上) | — |
肥満(中等度) (肥満度:30%以上) | — |
肥満(高度) (肥満度:50%以上) | — |
肥満度の計算式
肥満度の計算式は、文部科学省の「学校保健統計調査」にある各年度の調査結果の概要中の「肥満・痩身傾向児の算出方法について」に以下の様に記載されてます。
「身長別標準体重」を年齢とそれに対する係数(a, b)、実測身長から求める
この「身長別標準体重」から「肥満度」(過体重度)を計算。
この掲載で用いる年齢とそれに対する係数(a, b)は以下。
上の自動計算では、この値を使用しています。
例えば具体的な計算例として、10歳の男の子、身長140cm、体重35.5kgの場合、まず以下の様に身長(140cm)から身長別標準体重を求めます。
= a × 身長(cm)– b
= 0.752 × 140(cm)– 70.461
= 34.819
※)係数a, b は、上にある表中、年齢10歳、男、のところを見ると、a = 0.752, b=70.461 となっているのでそれを使います。
身長別標準体重が求まったので、続いてこの身長別標準体重と体重(35.5kg)から肥満度を以下の様に計算します。
以上から、男の子の場合で、身長が140cm、体重35.5kg では、肥満度は 約 2.0% と計算されますね。
肥満度の判定
文部科学省が公表している「学校保健統計調査ー平成30年度(確定値)の結果の概要」では、上の計算式で求めた肥満度(%)に対して以下としています。
- 「肥満度」が プラス20%以上 となる場合を「肥満傾向児」とする
- 「肥満度」が マイナス20%以下 となる場合を「痩身傾向児」とする
肥満度がプラスになれば、標準体重からみて太っている傾向、マイナスになれば痩せている傾向、ということになりますが、マイナス20%からプラス20%は普通の体重の範囲内。
もちろんマイナス10%からプラス10%も同様に普通の体重の範囲内ですが、マイナス20%以下ではやせ傾向、プラス20%からは肥満傾向という判定になります。
公益財団法人「日本学校保健会」発行の「児童生徒の健康診断マニュアル(改訂版)」(文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課 監修)では、肥満の重症度をさらに細かく以下の様に分類しています。
肥満度(%) | 肥満度の判定 | (補足) |
-30% 以下 | 高度のやせ | (痩せている) |
-30%以上 -20% 以下 | やせ | |
-20% 以上 20% 未満 | 普通体重 | (普通) |
20%以上 30%未満 | 軽度の肥満 | (肥満) |
30% 以上 50% 未満 | 中等度の肥満 | |
50以上 | 高度の肥満 |
上の自動計算ではこの分類を使用していますが、マイナス30%以下では高度のやせ、プラス30%以上は中等度の肥満、プラス50%以上では高度の肥満という判定になっています。
肥満度の判定に対する考え
上の計算で求められた結果に対して、たとえば山形県の発行する資料(子どもの肥満の評価)を見れば、以下の様にされてます。
- 中等度肥満(肥満度30%以上50%未満)では、要健康相談
- 高度肥満(肥満度50%以上)では、要検診
ただし、この山形県の資料も、先ほどでてきた大元の日本学校保健会発行「児童生徒の健康診断マニュアル(改訂版)」にもあるように、この数値だけで見るのではなく、一人一人の成長曲線や肥満度曲線を描いて総合判断することが大切、であり、BMI(成人の肥満度を見る指数)と同じくこの肥満度も肥満に対する1つの目安、ということになりますね。
ローレル指数と肥満度
ネット上では学童の肥満度を見る指数としてローレル指数が多くの箇所で説明されてますが、文部科学省の資料(学校保健統計調査報告書など)には出てきません。
厚生労働省の説明(肥満と健康 | e-ヘルスネット 情報提供)には出てきますが、省庁によって考え方が異なるのか、単に情報共有がされてないだけなのかもしれません。
厚生労働省も参照している日本肥満学会の過去の資料(「肥満研究」Vol. 10 No. 1 2004〈トピックス〉)を見ると、以前はローレル指数は用いられていたが、今は小児肥満の判定は上で自動計算している肥満度が全国的に用いられている、ということです。
Wikiの説明(医学大辞典第2版の参照)では、ローレル指数は身長の影響を大きく受けるために年齢、性別によって標準値が変動する、という欠点があると言われています。たとえば山形県が公開している資料「山形県子どもの肥満対策:2.子どもの肥満の評価」でも「成長期の子どもの場合、年齢や身長によって基準値が大きく異なるためBMIやローレル指数での評価は不適当と言われている」という同等の記載があります。
それがために、年齢、性別、身長別の標準体重に対して計算する肥満度を用いている、ということになりそうです。
ローレル指数の自動計算
参考までにこちらは以前使われていたローレル指数の自動計算です。
以下、実測した身長、体重を入力すると、その下に自動計算した結果が表示されます。
肥満度の判定 | 標準体重 | 標準体重との差 | 肥満度 |
--- | --- | --- | --- |
肥満度 | 肥満度(ローレル指数)に対する体重の範囲 |
やせすぎ (ローレル指数:100未満) | --- |
やややせている (ローレル指数:100~115未満) | --- |
標準 (ローレル指数:115~145未満) | --- |
やや太っている (ローレル指数:145~160未満) | --- |
太りすぎ (ローレル指数:160以上) | --- |
ローレル指数の計算式
ローレル指数は、以下の式により、身長と体重から求められます。
実測した体重(kg)を身長(cm)の3乗で割り、最後に10の7乗をかける。
ローレル指数の計算式の紹介では、身長をメートル(m)で表している場合もあり、そうなると計算式は以下になります。
実測した体重(kg)を身長(m)を3乗したもので割り、最後に10をかける。
どちらも同じものですが、単位を間違えるととんでもない結果がでますので注意しましょう。
例えば具体的な計算例として、身長140cm、体重35.5kg の場合、ローレル指数は以下のような計算になります。
=体重(kg)÷ 身長(cm)×107
=35.5(kg)÷ 140(cm)×10,000,000
=129.3731778(約129.4)
身長140cm、体重35.5kg の場合、ローレル指数は約129.4と計算されます。
ローレル指数の標準体重の求め方
ローレル指数で肥満度を見る場合、標準体重はローレル指数133として身長から逆算します。
身長をメートルで見る場合には以下になりますね。
こちらも単位を間違えないようにしましょう。
例えば具体的な計算例として、こちらも身長140cm(体重35.5kg) の場合、標準体重は以下のような計算になります。
= 130(ローレル指数)× 身長(cm)3 ÷ 107
= 130(ローレル指数)× 140(cm)3 ÷ 10,000,000
= 35.672(約35.7kg)
身長140cmに対する標準体重は約36.7kgと計算されます。
ローレル指数による肥満度の判定
前述のように小児肥満の判定に対して現在はこのローレル指数より上で見た肥満度を用いる、ということですが、省庁関係の資料としては滋賀県のホームページで公開されている学校保健統計調査に記載のある判定基準を元に自動計算しています。(平成28年度版)
※)参考までに
滋賀県の学校保健統計では、平成29年度からローレル指数の説明がなくなっています。
ローレル指数 | 肥満度の判定 | (補足) |
100未満 | やせすぎ | (痩せている) |
100以上 115 未満 | やややせている | |
115 以上 145 未満 | 普通 | (普通) |
145 以上 160 未満 | やや太っている | (肥満) |
160 以上 | 太っている |
この肥満度の判定について、滋賀県のホームページにある判定基準は「やせすぎ」はローレル指数99以下、「やややせすぎ」ではローレル指数は100以上とされ、整数での分類になっています。(99.1~99.9 の間がどうなるかが不明瞭)
ここでは「~以上」というところを正として、「やややせすぎ」がローレル指数は100以上であれば、「やせすぎ」はローレル指数99以下ではなく100未満としています。(その他も同様)
最後に
5歳から17歳(幼稚園児から小学生、中学生、高校生まで)の肥満度をみるための自動計算を2種類紹介していますが、いずれも身長と体重からの計算であり、個人個人は異なる体格を持っている、ということから、あくまで目安としての扱いです。
成人の場合や6歳未満の幼児の場合には、他の指標を用いますので、以下の記事を参考にしてみてくださいね。
- 18歳以上の肥満度の自動計算はこちら
- 6歳~17歳の肥満度の自動計算はこちら
- 身長別標準体重による肥満度の自動計算とローレル指数による自動計算(この記事)
- 1歳~5歳の肥満度の自動計算はこちら
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