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ドント方式とは分かりやすく解説!比例や候補者二人の場合の計算は?

自民党の総裁選や衆院選や参議院の比例でよく聞かれる「ドント方式」。

衆院選や参議院の選挙では比例ブロックでこのドント式で各党の議席が決まります。

自民党の総裁選では議員票(自民党に所属する国会議員による票)と地方票(党員・党友の票)とがあり、議員票は国会議員一人につき1票と分かりやすい反面、地方票はこの「ドント方式」(またはドント式)と呼ばれる計算によって票が候補者に分配される、となっています。

ここでは、この「ドント方式」とはどんなものか、割り切れない場合や、単純に二人の候補者の場合にはどうなるかを、サクサクッと見てみましょう。

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ドント方式とは

ドント式とは、選挙などで総得票数を1,2,3と順に整数で割り、その割った数値を元にして票を振り分ける方式です。

たとえば以下、A候補、B候補、C候補、と3名の候補がいたとします。

またこの候補者は「党」と置き換えても良くて、この場合にはA党、B党、C党と、3つの党があり議席を振り分けたい、とします。

各々の総得票数が以下であった場合、

  • A候補者(またはA党):150,000
  • B候補者(またはB党):135,000
  • C候補者(またはC党):70,000

これらを総得票数に基づいて10票分(10議席分)を振り分けたい、とすると、以下のようになります。

「1で割る」の行には、大元の総得票数を1で割っているだけなので、総得票数と同じ数値。

その下の「2で割る」の行には、総得票数を各々2で割った数値、

といったように順に計算した結果を並べます。

今回は例として「10票分を振り分けたい」、とした場合、計算した結果の大きい数値順に10個選んでいくと①から⑩までとなり、結果、

  • A候補:4票/A党に4議席
  • B候補:4票/B党に4議席
  • C候補:2票/C党に2議席
    (合計10票/10議席)

ということになりますね。

候補者が二人の場合

ドント式はこのように
「整数で割って行って、大きいものから順に票としてカウントするもの」。

この方式は、比較的公平に票の分配ができる、とされてます。

では候補者が二人の場合(または2つの党の場合)はどうなるでしょう?

以下いくつかの例で見てみましょう。

1)二人の候補者/党の票が3:2だった場合

A候補、B候補と二人の候補者がいて、
その総得票数が150,000、100,000、
といった3:2の場合、
10票分をこの総得票数に応じて分配したい、ということでドント方式で計算してみます。

結果は以下の通り。

見て分かるように、A候補は6票、B候補は4票。

元々の総得票数は3:2でしたが、
ドント方式で振り分けした結果も6票、4票の3:2。

10票を普通に3:2で分配したことになりますね。

2)二人の候補者/党の票が3:1だった場合

では他の例として、
A候補、B候補の二人の総得票数が120,000、40,000、といった、3:1の場合。

ドント方式を使って10票分をこの総得票数に応じて分配すると、果たして3:1になるか計算してみると...

ドント方式を使うと、A候補に8票、B候補に2票。

元々の総得票数は3:1でしたが、
ドント式で計算すると(この場合では結果として)4:1に分配される、ということになるでしょうか。

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3)二人の候補者/党の票が4:1だった場合

では更に総得票数に開きのある4:1の場合にはどうなるか。

例2)の二人の候補者の票が3:1だった場合と結果は同じで、A候補に8票、B候補に2票、ということになりました。

この場合はもともとの得票数が4:1で、結果としての表の分配も8票対2票で、4:1になってますね。

ドント式を考察

「1)二人の候補者の票が3:2だった場合」、
「3)二人の候補者の票が4:1だった場合」
では、10票という数をうまく分配できる(整数で分けられる)割合だったため、ドント式で見てみれば、結果も綺麗に元の得票数に応じて票が分配できた、

ということになるでしょう。

「2)二人の候補者の票が3:1だった場合」では、
10票を数学的に正しく分配すれば、7.5票:2.5票となり、整数で分けられません。

端数がどうなるかは大本の数値によって、8票対2票、または、7票対3票、という結果になる、ということですね。

では「2)二人の候補者の票が3:1だった場合」で、10票を分配するのではなく、12票といった3:1で分配できる票の数(9票:3票)をドント式で分けるとどうなるか。

⑪、⑫が加わり、結果として、
A候補9票、B候補3票。

3:1となり、大本の得票数の割合と同じになりますね。

これらから、候補者二人の場合(2つの党の場合)、ドント式を使って票を分配する、ということは、総得票数の割合で分ける、というのと同じこと、というのが分かりそうです。

ちょっと昔ですが、2018年9月の自民党総裁選では、地方票(党員票)は405票。

安倍晋三首相、石破茂・元幹事長に投票された地方票について、地方票全体でまず集計され、その後ドント式で得票数に応じて分配される、という説明がされましたが、405票を得票数の比率で分ければ、それがそのままドント式で分配した票数、ということになりそうです。

ドント式のうんちく

このドント式は、ベルギーの数学者ヴィクトル・ドントさんから名づけられているもの。

日本だけでなく、オーストラリア、フィンランド、オランダ、スペイン、トルコ、など、世界26か国ぐらいで取り入れられている方式のようです。

簡単な計算から見れば公平に分配されるようですが、実は得票が多い候補(政党)に有利になるとか。

ドント式で計算するのは、公職選挙法の「95条の2」、「95条の3」で規定されているものですね。(95条の2は、衆議院比例代表選出議員の選挙、95条の3は参議院比例代表選出議員の選挙)

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